焼尻に着くと羽幌から定期船に乗ってやって来た観光客が海産物や焼き肉を網で焼いて食べている光景が見える。マイクを使ってカラオケに興じている。例年の様子と変わりはない。岸壁に係留している仲間の3艘の隣に係留して陸に上がる。そこで仲間に昨日の恐怖の体験を聞く事になる。昨日増毛を出港した3艘は予報には無い恐怖の波に遭遇したというのだ。船は波に持ち上げられては落下してその度に船底を強く波に打ちつけられる。船首を波に突っ込み波しぶきが船全体に降り掛かる。一番小さな船は22フイーとで船室は無い。運転席には波が直接降り掛かってくる。全身びしょぬれ。強烈な波にたたかれて運転席側の窓ガラスが割れたそうだ。他の船の先端部分も吹き飛んでいた。彼らは私に「一緒に来ないで正解だったね」と言う。あの屈強な経験豊富な親方も「引き返すべきだった」という判断ミスを責めて元気が無かった。よほど堪えたのだろう。
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